わたしが「ワンネス体験」をしたとき、当時の師たちはこう言いました。
「見性(ワンネス体験)をしたのだから、あと5年か10年もすれば覚醒できるだろう」
「この体験を何度も重ねていけば、やがて悟りに至るはずだ」と。
わたし自身も、それが真実なのだと信じて疑いませんでした。
というのも、わたしにとってそのワンネス体験は、それまでの人生で最も素晴らしく、人生観そのものを一変させるような体験だったからです。
ですから、「この体験を繰り返すことで、“悟り”を得ることができるはずだ」と、そう思い込んでいたのです。
しかし、どれだけ体験を重ねても、どれほど坐禅をしても、わたしは“悟りの正体”をつかむことができませんでした。
そんなわたしが答えを得たのは、ある覚者との出会いによってでした。
その覚者が日本を訪れた際、わたしは彼のリトリートに参加しました。
そのとき、わたしは彼からはっきりとこう言われたのです。
「何年坐禅をしようが関係ない。ワンネス体験をしたからといって、
将来必ず覚醒するということもない。覚醒の扉は、“今この瞬間”にしか開いていない」
その言葉を聞いた瞬間、わたしは心の奥で「なるほど」と深く頷いていました。
過去も未来も存在せず、「今」しかない――禅の教えにも確かにそう書かれている……。
わたしはそのとき、はっきりと“目が覚めた”のです。
長い間、わたしは“時間”という見えない罠に、見事にとらわれていたのでした。
